世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題などを受けて成立した不当寄付勧誘防止法について、消費者庁は22日、4~5月の2カ月で48件の違反が疑われる事例の情報が寄せられたと発表した。旧統一教会を含めた今後の行政処分に注目が集まるが、実効性は未知数だ。
今月1日、同法は全面施行された。あらゆる法人・団体が対象で、霊感商法のように不安をあおって寄付をさせようとするなど七つの行為を禁止し、適切な判断が困難な状況に陥らせないようにするなど三つの配慮義務を課している。違反が確認された場合は、消費者庁が勧告や措置命令を出すことができる。
昨年末成立した同法の大部分は1月に施行され、不当な勧誘により行った寄付を取り消せるようになった。4月には、消費者庁が同法に違反する法人や団体に対して行政処分ができるようになり、6月は、一部の禁止行為の規定が加わり、全面施行となった。
消費者庁によると、4月以降の情報提供数は、計286件。このうち、同法違反が疑われる内容が含まれるケースは48件だった。5月上旬に4月中の件数として発表した18件から増加しているが、集計方法の都合で、前回の発表時に含まれなかった分も入っているといい、消費者庁の新井ゆたか長官は同日の定例会見で、「急増したという状況ではない」とした。(寺田実穂子)
規制と民事ルールの両側面を持つ同法。規制においては、不当な寄付の勧誘に関する情報を集め、違反があれば是正の勧告や命令などを出すことができ、命令に従わない場合は刑事罰の対象になる。民事ルールでは、禁止行為のうちの六つの行為が原因で行った寄付については、本人が取り消して返金を求めることができる。
消費者庁は「寄付勧誘対策室」を4月に新設。捜査の専門家である検察や警察からの出向者を中心に12人態勢でスタートした。全国の消費生活センター、消費者庁のHP上に新設した情報受付フォーム、法テラス(日本司法支援センター)の「霊感商法等対応ダイヤル」の3ルートから、不当な勧誘の情報を集めている。「消費者庁の自前主義にこだわらず、取り締まりのプロが集まった」(同庁幹部)といい、こうした体制そのものが悪質な寄付勧誘の抑止力になるとの期待もある。
一方で、法執行には悩ましさもある。憲法で保障されている「信教の自由」との兼ね合いだ。
不当寄付勧誘防止法は「運用…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル